採用・労務・経理に関するお役立ち情報

2025.06.20 更新日:2025.07.18
この記事の監修者:今 啓亮

この記事の監修者:今 啓亮

第9回 データで可視化する採用活動のPDCA【特別企画:建設業界採用ガイドブック解説】

応募数だけで採用は語れない

「応募が来た=成功」という評価軸だけでは、採用活動の実態は見えてきません。なぜなら、

  • 応募が多くても、面接に進まない
  • 面接しても、内定辞退される
  • 入社しても、すぐに辞めてしまう

といった“漏れ”が発生していることが多いからです。

特に中小建設企業では、「来てくれればありがたい」と思うあまり、応募数だけに目を奪われがちですが、採用はファネル(漏斗)構造で考える必要があります。

ファネル管理で「どこで詰まっているか」を把握する

ファネル管理

採用活動は、営業と同様に”ファネル”で可視化できます。代表的なステップは以下の通りです:

  • 求人の閲覧数(求人媒体やSNSなど)
  • 応募数
  • 書類選考通過数
  • 一次・最終面接通過数
  • 内定承諾数
  • 入社後定着数

このように各ステップを定量化しておくことで、「どこで歩留まりが悪くなっているのか」が明確になります。

たとえば:

  • 書類通過率が低ければ、求人のターゲットや内容がミスマッチ
  • 面接辞退率が高ければ、日程調整や印象形成の仕組みに課題
  • 内定辞退が多ければ、条件提示やコミュニケーションに不足

といった仮説が立ち、次の一手を具体化しやすくなります

データ分析のポイント:”率”で見る

採用の成果を語るうえで重要なのは、”数”ではなく”率”で見ることです。

  • 応募数→面接数(面接率)
  • 面接数→内定数(内定率)
  • 内定数→承諾数(承諾率)
  • 入社数→3ヶ月定着数(定着率)

これらの「コンバージョン率」を追うことで、

「何件応募があれば1名入社するか」

というコスト感や施策評価が見えてきます。媒体別・職種別・時期別などで比べてみると、より深い示唆が得られます。

採用レポートは経営資料である

中小企業では、採用は人事任せ、または現場任せになりがちです。しかし、

「誰をどのくらい、いつまでに採用できるか」

は、事業計画に直結する重要情報です。だからこそ、採用レポートは現場だけでなく、経営層に共有されるべきです。

採用の進捗や歩留まりを、月次や四半期単位で報告・可視化することで、

  • 採用への理解とコミットが社内に浸透
  • 予算や体制の根拠が明確になる
  • 採用戦略が事業と連動する

といった効果が生まれます。

特に、定量データとセットで「なぜそうなったか」の要因分析や改善施策を記載すると、採用が“なんとなく”ではなく、戦略的な取り組みとして認識されます。

採用もPDCAで改善する

「求人出したけど、来なかった」で終わってしまっては、同じ失敗を繰り返します。

  • Plan:どんな人を、どんなチャネルで、どう口説くかを計画
  • Do:実行(媒体出稿、面接対応など)
  • Check:数値で検証(応募数・歩留まり・定着)
  • Act:改善(ターゲット・内容・対応プロセスの見直し)

というサイクルを回すことが、再現性のある採用成功につながります。

特に、感覚や経験値ではなく「データに基づいた改善」ができると、採用活動の精度が格段に上がります。

次回予告

次回(最終回)は、「採用から始まる会社のブランド戦略」と題し、採用活動を“広報・PR”として捉える発想の転換と、自社らしさを伝えるブランディング戦略についてご紹介します。

この記事の監修者:今 啓亮
この記事の監修者:今 啓亮

まるごと人事として550社以上の企業の採用支援
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2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。
スタートアップから大手企業まで幅広く採用関連のプロジェクトに携わった後、2017年に月額制の採用代行”まるごと人事”の提供を開始。
2021年にバックオフィス代行”まるごと労務””まるごと経理”も開始。
「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行う。
2022年に本社住所を東京から札幌に移転し、自身も関東から札幌に移住。

出演イメージ

2024年11月、ABEMAの報道番組「ABEMA Prime」に
採用のプロフェッショナルとして出演。
> 出演した番組はこちら

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