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給与計算は、人事労務の中でも欠かせない業務です。しかし、手作業が多いため、ミスが発生しやすい点が課題となります。そこで、自動化によって正確に処理できるのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。本記事では、給与計算の流れを整理し、自動化のメリットや導入時の注意点をわかりやすく解説します。

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目次
給与計算業務の現状と課題
まずは、給与計算の作業手順を確認していきましょう。
給与計算業務の全体像
給与計算業務は、次の5つの手順で進められます。
- 1)勤怠データの収集
従業員の出勤状況や残業時間を、打刻データやシフト表から取得します。不備がある場合は、修正や確認作業が必要です。
- 2)給与計算
基本給や残業代、税金、社会保険料などを計算します。手作業ではミスが起こりやすく、確認作業にも時間がかかります。
- 3)給与明細の作成と配布
計算結果をもとに給与明細を作成し、従業員に配布します。手作業の場合、明細作成や封入に多くの時間を要します。
- 4)支払処理
給与を従業員の銀行口座へ振り込みます。振込先の間違いがないよう慎重に確認する必要があります。
- 5)事後処理
賃金台帳の作成や社会保険の変更手続きを行います。法改正の影響を受けることもあり、最新の制度を把握しておく必要があります。
給与計算業務における課題
給与計算業務の課題は、手作業が多いことです。例えば、勤怠データの入力ミスがあると、残業代などの計算が間違い、従業員の不満につながります。また、給与明細の作成ミスが起こると、修正に時間がかかり、業務が遅れる原因になります。さらに、給与計算には税金や社会保険料の計算も含まれ、法律改正への対応も必要です。
こうした負担を減らすには、業務の流れを見直し、システムを活用して自動化を進めるのが有効です。手作業を減らせばミスが少なくなるだけでなく、仕事の正確さも上がります。
自動化を取り入れることで、労務担当者は細かな作業に追われず、より大切な業務に時間を使えるようになるでしょう。
給与計算システムで自動化できる業務
給与計算システムを導入すると、次の業務が自動化されます。
- 給与明細の作成と配布
従業員ごとに異なる給与額や控除額を自動で計算し、給与明細を作成できます。従来はエクセルで計算し、明細を印刷・封入する手間がかかっていました。システムを導入すれば、ボタン一つでPDFを作成できるようになります。さらに、メールやクラウドを活用することで、明細配布もスムーズに行えます。
- 社会保険料の計算や月額変更
健康保険や厚生年金の保険料率は定期的に変更されるため、計算ミスが起こりやすい業務です。システムを使えば、最新の保険料率が自動適用され、月額変更の手続きも簡単になります。例えば、従来は保険料率改定のたびに手作業で確認していたものが、システム導入後は自動更新され、作業時間を大幅に削減できます。
- 経費や給与の申請処理
従業員が経費や給与の変更を申請する際、紙の申請書を提出し、承認後に手作業で入力すると、確認ミスや処理の遅れが発生しやすくなります。システムを導入すれば、オンライン申請が可能になり、承認フローも自動化され、業務の手間が大幅に削減されます。
- データの暗号化・バックアップ
給与データは機密情報が多く含まれるため、安全な管理が必要です。システムを活用すれば、データの自動暗号化や定期的なバックアップが可能です。例えば、給与データを誤って削除するリスクはなくなります。自動バックアップ機能により、万が一のトラブルにも対応できるでしょう。
このように、給与計算システムを導入すれば、業務の正確性が向上し、労務担当者の負担も軽減できます。
給与計算業務を自動化する3つの方法
給与計算業務を自動化する方法として、以下の3つを紹介します。
- 既存のクラウドサービスを利用する
- RPAやAIを活用する
- 自社専用システムを開発する
既存サービスを活用した自動化
まずは、クラウド型の給与計算ソフトや市販のパッケージ製品を利用する方法です。導入が簡単で、初期費用を抑えられるのが特徴です。
小規模な企業が導入すれば、給与計算の手作業が減り、ミスの防止につながります。また、法改正があってもシステムが自動で対応するため、担当者の負担が軽減されます。
一方で、カスタマイズ性が低く、特殊な給与体系には対応しづらいというデメリットもあります。例えば、インセンティブが多く、計算が複雑な企業では、システムに合わせるために追加の処理が必要になります。そのため、一般的な給与体系を持つ小〜中規模の企業に適しています。
RPAとAIによる業務自動化
次に、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIを活用し、給与計算を自動化する方法です。例えば、RPAを導入すると、勤怠データの集計や給与計算が自動化され、手作業の負担が大幅に減ります。AIを活用すれば、複雑なデータ処理や予測分析も可能になり、業務の精度が向上します。
この方法のメリットは、繰り返し作業を自動化できる点と、大量のデータを処理できる点です。一方で、初期導入費用が高く、運用には専門的な知識が求められます。従業員数が多く、勤怠データの集計作業に時間がかかる中〜大規模の企業での活用が効果的です。
自社専用システムでの自動化
最後に、自社の給与体系や業務フローに合わせて、オリジナルの給与計算システムを開発する方法です。
例えば、特殊な手当や独自の計算ルールを持つ企業では、この方法を採用することで、業務に最適化された給与計算が可能になります。システムを完全にカスタマイズできるため、業務の効率化だけでなく、独自の管理項目も反映できます。
ただし、開発には高額なコストがかかり、保守やアップデートの管理も求められます。そのため、開発資金に余裕があり、既存のシステムでは対応しきれない給与体系を持つ大規模企業に向いています。グループ会社ごとに異なる給与ルールがある場合、この方法が最も適しているでしょう。
給与計算を自動化するメリット
ここからは、給与計算の自動化がもたらすメリットを紹介します。
ヒューマンエラーの削減
手作業による給与計算は、勤怠データの入力ミスや計算ミスが発生しやすい作業です。自動化により、勤怠データが自動で取り込まれ、給与や税金、社会保険料の計算が正確に行われます。
さらに、法改正や保険料率の変更にも対応できるため、手作業での修正が不要になります。結果として、トラブル対応が減り、業務の精度が向上します。
人員不足の解消とコスト削減
給与計算を自動化すると、少人数でも業務を効率よく進められます。例えば、2〜3人が数日かけていた給与計算が、システム導入後は1人でも短時間で完了することが予想されます。
人手が足りない中小企業では、給与計算以外の業務を兼任する担当者も多いため、自動化により余裕が生まれ、他の重要な業務に集中できるようになります。また、人件費の削減や作業時間の短縮にもつながり、経営の効率化が期待できます。
リスク軽減と法令遵守の強化
給与計算では、法改正や税制変更への対応が欠かせません。手作業では、新しいルールを確認しながら計算するため、ミスが発生しやすくなります。
しかし、給与計算システムを導入すれば、最新の法改正に自動対応できるため、こうしたリスクを防げます。さらに、データの暗号化やアクセス制限により、給与情報を安全に管理でき、情報漏洩のリスクも抑えられます。企業の信頼性向上にもつながるため、コンプライアンスを重視する企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
給与計算を自動化する際の注意点
では、給与計算を自動化するときに気をつけるポイントをご紹介します。
導入コストと運用コストの管理方法
給与計算システムを導入するには、初期費用や月額利用料がかかります。クラウド型サービスは比較的低コストですが、自社開発や高度なツールを導入する場合は、多額の開発費や維持費が必要になるでしょう。
さらに、導入後もメンテナンスやアップデートの費用が発生します。自動化によるコスト削減効果が、これらの費用に見合うかを長期的に検討し、無理のない形で導入することが重要です。
セキュリティリスクを最小限にする対策
給与データには、従業員の個人情報や給与額、社会保険情報など機密性の高い情報が含まれます。そのため、適切なセキュリティ対策が欠かせません。
導入時には、データの暗号化、アクセス制限、ログ管理の仕組みがあるかを確認しましょう。特にクラウドサービスを利用する場合は、提供会社のセキュリティ対策やデータ管理の方針を事前に確認し、安全性を確保する必要があります。
自動化が難しい業務への対応策
給与計算のすべてを自動化できるわけではありません。例えば、勤怠データの修正や、人事異動に伴う給与変更は、人の判断が必要となるため、完全な自動化が難しい業務の一例です。
まず業務フローを整理し、どの作業を自動化できるかを明確にしましょう。また、自動化が難しい業務は、アウトソーシングや代行サービスを活用することで、効率化と負担軽減を両立できます。
給与計算業務を自動化するメリットと選び方のポイント
給与計算の自動化は、手作業の負担を減らし、ミスを防ぐのに役立ちます。しかし、すべてを自動化できるわけではなく、人の判断も必要です。導入には費用やセキュリティ対策といった課題があるため、慎重な検討が重要です。
給与計算の自動化やアウトソーシングでお悩みの方は、「まるごと労務」にぜひご相談ください。
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